インターネットカフェや24時間営業のスパ施設は旅館業ではないか?

旅館業の定義とは?

旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」とされています。

旅館業はその形態によって、ホテルや旅館、簡易宿所、下宿営業の4つに分かれます。

ここで旅館業法の適用にあたっての1項目として、「宿泊料徴収の有無」があります。

インターネットカフェ、スパ施設とは?

「インターネットカフェ」とは、漫画の読み放題やインターネット端末の使用ができるカフェです。インターネットカフェには、長時間利用すればお得なパックもあり、夜から朝にかけて、このパック料金を利用して滞在することによって、宿泊施設の代わりに利用する方々がいます。

スパ施設は温泉の利用を目的とした施設で、仮眠スペースもあり温泉利用の対価として利用料金を支払います。ここでも、夜から朝にかけて宿泊施設の代わりに利用する方がいます。

そこで、このような「インターネットカフェの終夜営業やスパ施設の終夜営業」は旅館業に該当しないのかが問題となります。

インターネットカフェやスパ施設は旅館業に該当しないのか?

旅館業法が適用されるかどうかの判断基準のうち、「宿泊料徴収の有無」に関して、宿泊料とは宿泊に際しての対価をいいます。

したがって、インターネットカフェやスパ施設で宿泊の対価である宿泊料を徴収していれば、当該インターネットカフェやスパ施設は旅館業法が適用されます。なお、この宿泊料とは、宿泊の対価であれば全て含まれます。

では、宿泊とはどういう意味なのでしょうか。これは、上記で説明した旅館業の定義に出てきます。宿泊とは、「寝具を使用して施設を利用すること」をいいます。ここで重要なのが、寝具を使用してという部分です。

インターネットカフェやスパ施設の利用料は宿泊の対価ではない

インターネットカフェやスパ施設は「旅館業」に該当しないで営業するためには、「寝具を使用」させてはいけません。具体的には、ベッドはもちろんのこと布団や毛布も提供してはいけないと考えられます。すなわち、インターネットカフェやスパ施設にある「ベッド」のようなものはベッドではなく、「布団」や「毛布」のようなものは布団でも毛布でもないのです。

インターネットカフェでは、シートのタイプが選べるようになっており、「ビジネスチェア」や「フルフラットシート」が用意されています。また、スパ施設では椅子のようなフラットなものが用意されています。また、肌寒いと感じる利用者向けに「ひざ掛け」が用意されています。

つまり、法的に考えると、インターネットカフェでは利用者が「ひざ掛け」を使って「イス」で「居眠り」しているといえます。

以上より、インターネットカフェやスパ施設では(名称を問わず実質的にも)宿泊料を徴収していないため、旅館業法は適用されないと考えられます。