建物に関して

既存の建物または新たに新築した建物を簡易宿所の施設として営業する場合構造設備基準は旅館業法施行令で定められています。(旅館業法施行令第1条第3項)

1 客室の延床面積は、33㎡以上

※簡易宿所はこれまで一律に「33㎡以上」としていた簡易宿所の面積基準を「宿泊者が10人未満の場合は1人当たり3.3㎡」に緩和されました。(2016年4月1日施行 旅館業法施行令の一部改正)

2 適当な換気や採光、照明、防湿、排水設備を有すること

3 宿泊者が入れる十分な大きさのお風呂(近くに銭湯があれば不要)

4 十分な数の洗面台及び適当な数のトイレ

近隣との関係

簡易宿所では、周囲約100m以内の区域に学校等があり、簡易宿所の設置によってその施設の清純な施設環境が著しく害されるおそれがある場合は許可されません。

これは、学校等があった場合には保健所から学校等を所管する関係機関に意見照会をして、清純な施設環境が著しく害されるおそれがあると認められた場合には許可がおりない可能性があるということです。

ラブホテル等がこういった施設の傍にあると困ることがあるということでしょう。

建築基準法の用途変更

住宅やデパート、工場などの似たような目的の建物が集まると、それに見合った開発がなされ、それぞれの利便に沿った地域へと発展していきます。そこへ、種類の異なった建物等が入ってくると互いの生活環境や利便性が損なわれていきます。

そこで、都市計画法という法律で住宅や商業、工業といった地域に見合った用途が定められています。これを用途地域といいます。

「ホテル、旅館」に関していえば、第一種住居地域(床面積3000㎡以下)、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域にしか建てることができません。

用途変更したい物件がこれ以外の地域にある場合は、原則として用途変更ができません。

住居系 第一種低層
住居専用地域
低層住宅のための地域。小規模なお店や事務所をかねた住宅や、小中学校などが建てられる。
第二種低層
住居専用地域
主に低層住宅のための地域。小中学校などのほか、150㎡までの一定のお店などが建てられる。
第一種中高層
住居専用地域
中高層住宅のための地域。病院、大学、500㎡までの一定のお店などが建てられる。
第二種中高層
住居専用地域
主に中高層住宅のための地域。病院、大学などのほか、1,500㎡までの一定のお店や事務所など必要な利便施設が建てられる。
第一種住居地域 住居の環境を守るための地域。3,000㎡までの店舗、事務所、ホテルなどは建てられる。
第二種住居地域 主に住居の環境を守るための地域。店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなどは建てられる。
準住居地域 道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域。
商業系 近隣商業地域 まわりの住民が日用品の買物などをするための地域。住宅や店舗のほかに小規模の工場も建てられる。
商業地域 銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域です。住宅や小規模の工場も建てられる。
工業系 準工業地域 主に軽工業の工場やサービス施設等が立地する地域。危険性、環境悪化が大きい工場のほかは、ほとんど建てられる。
工業地域 どんな工場でも建てられる地域。住宅やお店は建てられますが、学校、病院、ホテルなどは建てられない。
工業専用地域 工場のための地域です。どんな工場でも建てられますが、住宅、お店、学校、病院、ホテルなどは建てられない。

100㎡以上の建物で「ホテル・旅館」以外の用途に指定された建物を使用する場合用途変更の手続きが必要です。なので、100㎡以上の建物で簡易宿所等の建物を設ける場合には注意が必要です。

また、用途変更の確認申請を行うにあたって、当該住宅が検査済証を取得していることが前提となります。ただ、古い物件となると検査済証が残っていない建物も多々ありますので注意が必要です。

マンション管理規約、賃貸借契約の確認

マンションの一室を利用して部屋を貸し出す場合、マンション管理規約で民泊利用を禁止されていないことの確認をする必要があります。

本来、自分が所有しているマンションであれば、自己で買った物件なので自由に使用できるのかと思います。ただ、区分所有法第6条では区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。と定められています。

マンションでは区分所有といったかたちで自分たち以外にもたくさんの方々が居住し生活をしています。そんな中で騒音やペット、ゴミの件など様々な問題をかかえることが多々あります。そういったトラブルを回避するためにも、住人が快適に住めるよう定めるルールがマンションの管理規約です。

管理規約には建物を使用するにあたってのルールなど細かく定められています。マンションの所有者以外にもその賃借人も管理規約のルールを守る必要があります。

規約を無視し、共同の利益に反する行為をしたなど、場合によっては警察や保健所から摘発を受ける可能性、区分所有法による差止請求を命じられることがあります。

また、マンションの賃貸借契約に「居住のみを目的とした使用」や「転貸を禁じている」となっていないか等の確認も必要です。