営業「許可」と民泊「届出」の違い
「許可」とは、本来は自由に行えるはずの行為を行政法上は一律に禁止したうえで、個々人についてこの禁止を解除し、適法に行為できるようにすることをいいます。
たとえば、旅館業の営業は許可制ですので、基本的には旅館業の営業を行うことはできません。なぜなら、不特定多数の人を宿泊させることは、近隣住民への迷惑行為や衛生面の問題などにつながるため、旅館業法という行政上の法律によって一律に禁止されているからです。そこで、旅館業の営業を開始する場合には、旅館業の営業許可を得るために、旅館業の許可申請を行います。
「届出」とは、行政庁に対し一定の事項の通知をする行為であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているものや、一定の法律上の効果を発生させるため当該通知をすべきこととされているものをいいます。禁止されている行為ではないので、行っても良いのですが、違法行為が行われた場合に行為を行っている者を把握しておくために、行政に事前の届出が必要ということです。
たとえば、家主居住型民泊が解禁された場合には、家主居住型民泊について旅館業法の適用を受けないという法律上の効果を発生させるために、行政に通知をすることが家主居住型民泊の届出となります。
法令に適した届出である場合は、役所は裁量で届出の受取りを拒否したりすることはできません。したがって、役所には内容を見て受理するかしないかという裁量はないのです。届出書面が役所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとなります。
以上が許可と届出の違いです。
民泊においては、旅館業の営業「許可」と民泊の「届出」が存在します。
役所が審査基準に照らして審査を実施する許可においては、許可がおりないケースもあります。一方で届出については、その書面が役所に到達した時点で効力が生じます。