共同住宅民泊の消火用設備
共同住宅民泊の消火用設備
共同住宅の一部を民泊として使用する場合には、当該共同住宅の消防法上の用途が変更になります。従前は共同住宅として使用していれば「別表第一(五)ロ」に該当し、従前は共同住宅と店舗として使用していれば「別表第一(十六)ロ」に該当します。
これが、共同住宅の一部を民泊として使用するようになると、従来の用途に加えて旅館・ホテルとしての用途が付加されます。このような複合的な建物を、消防法令では「複合用途防火対象物」と呼びます。消防法上の防火対象物としては、「別表第一(十六)イ」に該当することから、消火用設備等を新たに設置する必要が出てくる場合があります。
共同住宅で民泊を実施する場合に新たに設置が必要となる設備は、自動火災報知設備及び避難誘導灯が想定されます。消火器については、共同住宅と旅館・ホテル等の設置基準が同一であるため、新たな規制はかかりません。
自動火災報知器
床面積が300㎡以上かつ500㎡未満のマンションは注意が必要です。このタイプのマンションは300㎡以上ですので特定小規模施設用自動火災報知器の設置基準から外れ、かつ500㎡未満ですのでマンションでの自動火災報知機設置の基準にも届いていません。
この場合には、まずマンションでの民泊部分の床面積が建物全体の床面積の1割を超えるかどうかを見ます。
超えていなければ、民泊部分と管理人室等への自動火災報知機の設置ですみますが、民泊部分の床面積が建物全体の床面積の1割を超えている場合にはマンションの全ての部屋に通常の自動火災報知機の設置が必要となります。
こうなったら、そこのマンションでの民泊はもう不可能です。現実的には他の住人の部屋も含めて全ての部屋に自動火災報知機を設置するなんてことはできませんから、その場合はあきらめて違う部屋を探しましょう。
したがって、マンションでの民泊には延べ床面積が①300㎡未満か②500㎡以上のタイプが消防法上は適しているということになります。
避難誘導灯
「避難口誘導灯」と「通路誘導灯」を廊下や階段などの共用部分に新たに設置する必要があります。
消防法例によって設置場所の基準が定められています。具体的にどの位置に設置が必要かについては、図面を持参したうえで所轄の消防署と打合せをして決定してします。